母乳についてのブログ


母乳育児を推進している医院です。

第58回日本産科婦人科学会学術総会の演題、抄録です

完全母乳栄養児の生理的体重減少率と1カ月までの1日体重増加量

目的;出生後1カ月までの完全母乳栄養児(人工乳、糖水、白湯などの補充栄養を与えない)の出生後の体重の減少率、その後の体重の増加について検討したので報告する。

方法;出生後1カ月まで完全母乳栄養した成熟新生児218名を対象とし、以下のように分類し比較検討した。1;出生時体重(出生群)または出生後の最低体重(最低群)より出生後2週目および1カ月までの1日体重増加量(1日増加量)、2;生理的体重減少10%以下(10%以下群177名)、10%以上(10%以上群41名)での1日増加量、3;出生後2週目までに出生時体重に戻った群(回復群183名)と戻らなかった群(未回復群35名)での1日増加量。なお、全例にインフォームド・コンセントを得た。

成績;1;1日増加量は出生群(2週目:13.5±15.2g、1カ月:33.5±11.2g)より最低群(2週目:40.4±16.8g、1カ月:44.8±11.1g)が有意に大きかった(p<0.01)、2;出生時体重より計算した場合、10%以下群(2週目:15.6±14.5g、1カ月:35.0±10.5g)より10%以上群(2週目:4.6±15.2g、1カ月:27.2±12.0g)が有意に小さかった(p<0.01)、最低体重より計算した場合、10%以下群(2週目:39.9±15.3g、1カ月:45.0±10.3g)と10%以上群(2週目:42.5±22.4g、1カ月:43.8±14.1g)で大きな差はなかった、3;出生後2週目で回復群は出生時体重より計算(2週目:17.7±12.5g、1カ月:35.8±9.9g)、最低体重より計算(2週目:44.1±15.4g、1カ月:46.7±10.2g)共に、未回復群の出生時体重より計算(2週目:-8.4±6.6g、1カ月:21.6±9.6g)、最低体重より計算(2週目:20.7±7.7g、1カ月:34.5±9.7g)より有意に大きかった(p<0.01)。

結論;完全母乳栄養児の1日体重増加量は計算方法により異なり、特に生理的体重減少が10%以上、出生時より2週目までに出生時体重に戻らなかった場合には注意をすることが必要と思われた。
私たちの思い(出産と育児)

出産は、本来女性に備わった力です。赤ちゃんも自分で産まれてこようとする力を持っています。
私達は、その力が最大限に引き出せるようなお手伝いが出来るように努力しています。
母乳育児も、出産と同じように哺乳動物である人間(母親と赤ちゃん)に備わった自然の力です。
どんな動物の母親も、出産を終えると、いとしい我が子に自然に母乳をあげようとします。
人間も例外ではありません。
私達は、その母と子の自然の営みがスムーズに行なわれ、素敵な母子関係が作っていけるようお手伝い
しています。
メール相談

当院では妊婦さん、産後のかたのメール相談をしています。8月には41件のメールがありました。一部を紹介します。

Q;赤ちゃんがオッパイを離すまで飲ませても、1時間くらいするとまたグズグズ言って欲しがります。オムツを変えても、抱っこしても、体をよじらせてオッパイを欲しがります。1時間おきに飲ませてて、癖がついたりしませんか?
A;母乳は胃にとどまっている時間が1.5時間なので、1?2時間おきに欲しがっても普通です。癖がついているわけではありません。オッパイの出すぎで、飲みすぎのために泣いているのかもしれないので、赤ちゃんの体重を測りにきてみてください。 

Q;出産して1ヶ月を過ぎた頃から赤ちゃんのウンチが1日に1回となって落ち着いたんですが、この前から3日に1回となってしまいました。今日はウンチが出なくて4日目になってしまいました。見たところお腹は張ってはない様子で機嫌も悪くはないのですが・・。のの字マッサージと綿棒の刺激で最初は出てきてくれたんですが、今回の4日目はなかなか出て来ません。もう少し様子を見たほうがいいですか?そのかわりガスは沢山でています。
A;オッパイを良く飲み、機嫌が悪くなければ、のの字マッサージを続けて、もう少し様子をみましょう。
乳頭の痛みについて

入院中に適切な授乳(乳首の吸着)ができていないと、乳頭の傷などにより痛みを生じてきます。現在、入院中に母乳が勢いよく流れすぎ、授乳がうまくできなかった母子がいます。

新生児の体重は流れでてきた母乳を飲んでいたので、それど減少しませんでしたが、退院してから乳頭の痛みがでてきて(傷となり)授乳できなくなり、退院日の翌日に来院となりました。乳頭に傷があるので、搾乳とし、また、乳房の張りすぎ、乳汁の分泌過多があり、五苓散(漢方)の生薬を処方しました。

乳頭の痛みの対処法として、授乳時の赤ちゃんの姿勢のチェック、授乳後に搾母乳を乳頭に塗る、授乳前に温湿布をして射乳反射の促進、痛くないほうの乳房からの授乳などがあります。
「赤ちゃんにやさしい病院」とは

1989年3月に発表された「母乳育児成功のための10カ条」を採用し、実践する病院など産科施設を「赤ちゃんにやさしい病院」といいます。
これはユニセフとWHOにより認定され、母乳育児を推進する病院ということになります。
当院は今年、認定を受けました。日本には現在40の「赤ちゃんにやさしい病院」認定施設があります

第14回母乳育児シンポジウムに参加しました。
8月6、7日に岡山で開催された第14回母乳育児シンポジウムに参加しました

「赤ちゃんにやさしい病院」の認定式がありました