母乳育児成功のための10カ条…当院の現状


5条 お母さんに授乳方法を教えます。

1) 授乳方法 
カンガルーの時に生後約30分から1時間で赤ちゃんがお乳に吸いつきますが、うまく吸いつけない場合には、
私たちが手助けをします。
つまり、赤ちゃんが自分で乳房をなめて探れるようにします。

また、赤ちゃんにの頭から背中にかけて手で支えて、最初に授乳を助けます。入院中は私たちがお手伝いをしますが、
そのうちに1人で出来るようになります。お母さんに自身がつくまで何度でもお手伝いさせていただきます。

おっぱいを赤ちゃんに口にもっていくのではなく、お母さんが楽な姿勢で赤ちゃんの口をおっぱいに近づけて
あげるようにします。
そして、乳頭を舌の上に正面から全部乗せ、(乳輪まで、含ませるつもりで)深くくわえさせます。

注意してほしいこと
・赤ちゃんの顔がまっすぐおっぱいに向かっていること
・赤ちゃんの体がよじれずお母さんのお腹と赤ちゃんのお腹がぴったりくっついていること
・お母さんの体がどこかにもたれていて授乳の間、疲れない姿勢をとること

授乳のときの抱き方
横抱き、フットボール抱き、たて抱き、そして、寝乳などがありますが、お母さんと赤ちゃんに合うやり方、姿勢を
見つけられるようにします。

退院後は、授乳練習のための一日コースを設けています。
退院してから上手く吸えなくなったなどのトラブルがおきたときに実際の授乳をみて、お母さんの分泌や、赤ちゃんの
吸い方を再度、確認しながら、自身がもてるようにサポートしています。

2)直接授乳ができないとき
赤ちゃんが病気で、治療を必要とし、病院へ搬送されたとき、乳頭が大きい、陥没している、扁平で硬いなどの理由で
赤ちゃんがうまく吸いつけないととき、乳頭亀裂などで直接乳乳が出来ない時は、お乳を搾り(搾乳)ます。
搾乳は手搾りが、お乳にとって一番やさしいです。

親指と乳房の上に、人差し指以下を下にあてます。
乳輪の外側の縁を自分の方へまっすぐに押し、そのまま包むようにして、搾りだします。
色々な方向に変えて、搾ります。

どうしても手搾りが困難な方には、メデラ社の搾乳期の使用も考慮します。

搾乳したお乳は、ベビーカップや、注射器でのませるやり方や、チューブを指に貼りつけ、指を吸うとお乳が出るように
して、飲ませるやり方を私たちと一緒に練習します。                 

担当  竹田

母乳育児成功のための10カ条…6条について
乳汁分泌は、生後72時間で急激に始まります。つまり、母乳だけで、育てられている正常成熟新生児は、生まれて  
72時間は、体重が減り続けます。これを生理的体重減少といいます。

母乳が、分泌する前に糖水、人工乳を与えると赤ちゃんがお腹いっぱいになっておっぱいを飲みません。
その結果、授乳回数が減る事につながり、母親の乳頭刺激が減り、頻回授乳とならなくなります。

そして、出産後、数日間の乳汁うっ積につながり、その後の乳汁の分泌が減少する原因となります。
ただ、どうしても補足せざるをいないことがあります。

そこで、当院の現状を報告します。

当院補足は以下のとおりです。
1.赤ちゃんに脱水症状がある場合(激しく泣く、口腔内の乾燥がある。発熱)は環境温度、寝具の状況をみて、
お母さんの母乳分泌に時間がかかると予想される場合には、白湯(1回5ml〜10ml)を数回、お母さんの搾母乳を
混ぜて補足するようにしています。白湯を足している間も授乳は続けます。

2.生後72時間を目安として、お母さんの母乳分泌が乏しく、赤ちゃんの体重減少が、大きいようであれば、
ミルク(1回3〜10ml)をd時間ごとに補足することがあります。
ただし、お母さんの乳房の状態を一日最低2回は観察し、母乳分泌がありそうなら、ミルクは中止します。

3.退院時になっても、赤ちゃんの体重減少が続いている場合には、母乳分泌の徐歌を観察し、適切な量のミルクを
授乳後に追加します。
そして、退院後2〜5日してから来院してもらい、赤ちゃんの体重測定、必要なら直母量を測定し、ミルクが必要か
どうか決めます。

また、効果的な直接母乳が出来ない場合、お母さんの理由で直母が続けれない場合にが搾母乳を飲ませます。

2004、2005年、2年間(505人の赤ちゃん)に当院で
白湯を補足したのは、39人の赤ちゃん(全体の7.7%)
ミルクを補足したのは、46人の赤ちゃん(全体の9.1%)
白湯あるいはミルク、白湯とミルクを補足した赤ちゃんは69人の赤ちゃん(全体の13.7%)
退院時にミルクを必要とした赤ちゃんは33人(全体の6.5%、退院時の母乳率は、93.5%になります。)
69人のうち36人は母乳のみでの退院となりました。   

担当  青山